激務の財政課【経験者が語る民間と公務員の比較】

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激務の財政課【経験者が語る民間と公務員の比較】

あなたは,地方公務員がどのような仕事をしているか知っていますか?

 

身近な仕事としては,住民票の発行,税金の賦課徴収,ごみ収集処理,図書館など市民施設の整備運営,道路などインフラの整備,小中学校の整備などがあります。

 

私は,民間企業(新聞社),地方自治体(政令指定都市),中央省庁(○○省)で働いた経験があります。

 

手間みそで大変恐縮ですが,これら3つの異なる業界で働いた経験のある人は,数10万人〜100万人に1人の希少性があると思われます。

(日本で100人はいるかもしれないけど,たぶん1,000人はいない!)

 

そこで,民間から公務員に転職した私自身のリアルな体験に基づき,今回は「財政課」の仕事を紹介します!

 

【目次】

激務の財政課〜この記事を読んでほしい人〜】

・就職先,転職先として地方公務員を検討している人

・財政課がどのような仕事をしているか知りたい人

・地方公務員が何をやっているかさっぱりわからず、税金泥棒と思っている人(笑)

【激務の財政課〜財政課とは?〜】

ズバリ,財政課の最大の仕事は,予算配分を決めること。

 

中央省庁の「財務省」に相当する部署が、地方自治体における「財政課」。

財政課が「よし!」と言えば予算が付き,「ダメ!」と言えば付かず,その権限は絶大。

 

そのため,各部署は翌年度予算を措置してもらうため,必死で予算要求を行います。

 

「住民から預かった貴重な税金を,いかに適切に配分するか?」の責任は,一義的には首長や議会にありますが,実質的には財政課が決めているといって過言ではありません。

激務の財政課〜配属される職員〜】

基本的に,財政課には激務に耐えられる優秀なエース級職員が配属されます。

将来の幹部候補生となるための「登竜門」のひとつといえるでしょう。

 

ただ,中には,予算査定の権限を職務として与えられただけなのに,「自分がエラい!」と勘違いする人もいます(笑)

 

たとえば,「オレはエラい!」という上から目線の言動を振りまいたため,「おまえなんかに予算査定されたくない!」と担当部署から猛反発をくらった同僚とか(苦笑)

 

また,酔って繁華街を歩いたとき,「オレが予算をつけて駐輪場を整備してやったのに,なんで路駐なんかするんだ!」と自転車をなぎ倒した人もいます(汗)

 

それでも基本的に,人事担当部署に「基本的な事務処理能力が高い」「激務に耐えられる」と認められなければ,激務の財政課へ配属されることはないでしょう。

 

本来,財政課には,組織内の様々な業務を理解している経験豊かなベテラン職員が配属され,予算査定を行うべきです。

 

しかし,長時間労働が求められる激務の職場であることから,20代30代の若手職員が多いのが実情です。

激務の財政課〜年間スケジュール〜】

財政課のざっくりとした年間スケジュールは,夏までに前年度の決算作業を行い,秋から翌年度の予算査定作業が始まります。

 

秋から年末年始にかけて,予算要求部署のヒアリングや資料の査定を行い,残業は月100200時間超に及ぶこともあります!

 

具体的には,平日は夜10〜12時まで,土日も朝8時〜夜8時まで12時間くらい黙々と働くイメージで(涙),風邪をひかない,うつさない体調管理がとても大切です。

 

激務の財政課は,どこの地方自治体においても,もっとも忙しい職場のひとつです。

激務の財政課〜向いている人,向いていない人〜】

ズバリ,激務の財政課に向いているのは,「費用対効果の判断が得意な人」「スパッと物事をわりきれる人」だと思います。

 

予算の査定作業とは,結局,決められたパイ(お金)をどのように分けるか?

 

その原理原則は,事業の「重要性・緊急性」「費用」「効果」を天秤にかけること,つまりコストパフォーマンスの判断の繰り返しです。

 

どれほど担当部署から詳しくヒアリングを行い,資料を熟読しても,理解・想像できる内容には限界があります。

 

本来は,複合的・総合的な観点から悩みに悩んで査定すべきですが,迫り来る締切を前に,ある程度わりきらないと作業は進まず,うじうじ悩んでいる暇はありません。

 

したがって,目の前にヒアリング対象者がいても,自分の一定の基準に基づき,紙資料にバツをズバズバつけていくような(苦笑),わりきりが必要です。

 

また,「この数字はどこから来たのですか?」「事業を実施しないと,どんな影響がありますか?」など,根拠やメリット,デメリットを明確にする質問力も求められます。

 

その意味で,数字ベースで定量的,定性的に物事を考えるのが苦手な人,いわゆるロジカル・シンキングが苦手な人は向いていないと思います。

 

また,「クリエイティブな価値を生み出す仕事をしたい人」「市民と接する仕事がしたい人」「外出・外勤が好きな人」も向かないと思います。

激務の財政課〜まとめ】

役所の基本的な役割は,「住民から預かった貴重な税金をいかに適切に配分するか?」であり,財政課の仕事はその本丸。

 

予算の適切な配分なくして、バランスの取れた効率的・効果的な行政は実現不可能です。

  

国の予算規模に比べれば小さいですが,都道府県や政令指定都市レベルであれば数千億~1兆円を超え,中小企業のそれを大きく上回ります。

 

財政課が,担当→係長→課長→部長→局長と,精査を重ねて作成した予算案が覆ることはほぼなく,その権限とやりがいは絶大!

 

財務省は最強官庁と言われ,国家Ⅰ種試験を受ける多くの学生が目指すように,財政課も地方公自治体で昇進を望むなら,経験すべき部署のひとつかもしれません。

 

ただ,財政課は,モノやサービスを新たに創造・提供する仕事ではありません。

「ゼロからイチを生む」仕事ではなく,「イチをどう配分するか?」という仕事。

 

就職・転職に興味のある方,激務の財政課に興味のある方。

 

まず,自分は「どのような仕事をしたいのか?」「どのような仕事が向いているのか?」を腰をすえて,じっくり考えることをオススメします!

 

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