【勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし】野村監督ではなく松浦静山の言葉だった!
「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」という言葉を知っていますか?
私はずっと,プロ野球の故・野村克也監督の名言と思っていました。
じつは,江戸時代の武芸家・松浦静山(まつら せいざん)の言葉だそうです。
【目次】
【松浦静山とは】
松浦静山(1760-1841)は,江戸時代中・後期に生きた肥前国(佐賀県)平戸藩の藩主。
本名は松浦清(まつらきよし)。
一般には,「松浦静山」の呼び名が通っています。
大名ながら心形刀流剣術の達人であり,江戸時代後期を代表する随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」の著者でもあるそうです。
【言葉の意味】
「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」
この言葉の意味は,
「理屈でうまく説明できない不思議な勝ちはあるけれども,負ける時は必ず理由がある」
ということ。
誰しも「あるある!」と思い当たるのではないでしょうか?
たとえば,何かの試合で,自分の調子は決して良くなかったけれども,相手が勝手に崩れてくれて,不思議と勝ってしまったこと。
あるいは,試験や仕事で結果が出なかった場合,後から振り返ると「◯◯だったから失敗したのか!」とその理由が思い当たるはずです。
【大学受験で感じた理不尽】
この言葉を聞いて「なるほど!」と思ったのは,大学受験後のことです。
身の回りを見渡して不思議だったのは,「なんであの人が?」という人が不合格となったり,反対に合格となっている事実。
「運が良かった!」「運が悪かった……」で片付けるには,あまりに理不尽と感じたのです。
<Image by Foundry Co from Pixabay>
【合否には2種類いる】
しかし,「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」のフレームワークで考えると,納得がいきます。
つまり,合格した人は「確固たる実力があり,合格するべくして合格した人」と「実力的にはプラプラだったけれども,不思議と合格できた人」の2種類。
不合格となった人は,「実力が足りず,当然のように不合格になった人」と「合格してもおかしくない実力はあったけれども,当日体調が悪かったり苦手分野が出題されて不合格となった人」の2種類。
「間違いなく合格する人」は2割程度,「間違いなく不合格となる人」は2割程度,残りの6割は「合格,不合格どちらにも転びうる」のではないでしょうか?
実際,「東京大学では入試を2回やったら合格者の半数は入れ替わる」という話を聞いたことがあります。
【不確実性への対処】
この不確実性に対して,どう対処すればいいのでしょうか?
たとえば大学受験のような「ルールがしっかり決まっている勝負事」の場合は,「負けとなる理由を徹底的につぶす」ことが有効でしょう。
つまり,どのような問題を出題されても対応できるよう,抜け漏れなく苦手分野を克服し、不合格となる確率を低くするのです。
一方で,たとえばビジネスのような「ルールがしっかり決まっていない勝負事」の場合は,「不思議の勝ちを狙う」ことも重要です。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどの天才といわれる人たちは,論理や理屈では「うまくいくわけがない!」と言われる領域で直感を信じてチャレンジして,大成功を収めています。
【まとめ】
「不思議の勝ち」を収めた場合,注意すべきはその後。
「一発屋」としてブレイクした後,消えていく芸人,アーティスト,起業家は数多くいます。
彼ら彼女らは「不思議の勝ち」を収めた後,「負けないため」「生き残り続けるため」の取組みが不足していたのではないでしょうか。
受験や就活は一発勝負ですが,仕事や人生は何度もチャレンジの機会があります。
失敗にくじけず,負けの確率を低め,勝ちの確率を高め,悠々と人生を楽しんでいきましょう!
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