魂熱ジャーナル

〜失われた魂熱(タマネツ)を求めて〜

達人伝(王欣太)第157話「太子の戟」感想

【目次】

達人伝あらすじ

「達人伝ってなに?」という方のために,あらすじを紹介します。 

中国の春秋・戦国時代。

天下統一を目指す秦に故国を滅ぼされ,親友を殺された荘丹(そうたん)は,秦の野望を砕くことを決意。

 

志をともにする仲間2人(無名=ウーミン,庖丁=ほうてい)と出会った荘丹は,戦国四君(斉の孟嘗君,趙の平原君,魏の信陵君,楚の春申君)の助けを得ながら秦に対抗する力を蓄えていく。

 

2代続いての王の死に揺れる秦に対し,魏の信陵君を盟主に五国連合軍が結成。

荘丹たちは,少年・邦(バン)=のちの劉邦とともに,決戦の地へ繰り出す! 

ひとことでまとめるなら,

冷徹で安定した体制の樹立を図る「紳士」(=公権力を持つ人々)と、その阻止を図る「流氓」(りゅうぼう=さすらい歩く人々)の戦いの物語です。

 

作者は,従来の三国志観にパラダイムシフトを起こした「蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生です。 

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「達人伝」は,「キングダム」(原泰久先生)とほぼ同じ時代(正確にはキングダムの数十年前)。

秦王・政や宰相・呂不韋など,「達人伝」「キングダム」両作品に共通する人物の「描き方のちがい」を味わうのもおもしろいと思います。

 

【達人伝公式サイト】

tatsujinden.jp

【無料で読める「達人伝」ダイジェスト版】

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達人伝第157話「太子の戟」〜あらすじ〜

宿敵の黥骨(げいこつ)を倒し,息を切らす盗跖(とうせき)。

その背後の首筋へ,秦の王子・政(のちの始皇帝)は,連合軍の軍師・蔡要の首が刺さった戟をズドッと突き立てます。

初めて人を刺す感触に,喜悦の笑みを浮かべる政。

 

うずくまる盗跖の首筋からは血が吹き出し,「あ?」「誰だ?」と問う盗跖に対して,政は無言のまま二撃目を加えます。

二撃目を振りかぶったとき,蔡要の首が戟からズポッと抜けて宙に飛び,連合軍大将・信陵君が「蔡?…要!!!」とその死を知ります。

 

三撃目を頭頂部に受け,「荘…丹さん……」「時世を……盗めなかったよ…」「ごめん……」と絶命する盗跖。

「ひゅー」と安堵のため息をつく政。

盗跖の死を察した荘丹たちは,人質として政を確保すべく4頭立ての馬車を猛追します。

「ん?」「あいつら……」「おい あの三匹をまず殺せ」と秦兵に命じる政。

 

庖丁と無名が秦兵を蹴散らし,荘丹が秘剣・絶界を発動して政の馬車に乗り移ろうとしたそのとき,秦の大将・蒙驁(もうごう)が「太子!」と駆けつけます。

 

馬へ飛び移ってきた政を抱きかかえ,蒙驁は即座に撤収開始。

武の達人・蒙驁は,追いすがる斬撃を難なくかわし,蹴りをくらわして落馬させます。

撤収を続ける蒙驁の正面から,「うおおおお」と怒り心頭で迫る信陵君。

蒙驁は政に「ゆったりと身を私に」とぐっと政を固定し,信陵君の怒りの一撃を冷静にかわします。

 

「蔡要おおお」と悲しみと怒りで泣き叫ぶ信陵君のアップで,第156話は終了します。

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<左から秦軍総帥・蒙驁,秦の王子・政,盗跖,荘丹〜漫画アクション2020/4/21号「達人伝」より〜>

【前回第156話はこちら】

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達人伝第157話「太子の戟」〜盗跖の死〜

盗跖が死んでしまいました。

 

ようやく,8代目・盗跖の手下から9代目頭領として認められ,父,兄,大恩人を殺した宿敵・黥骨を倒したのに,最初に受けた一撃が致命傷となり,抵抗らしい抵抗もできずやられてしまいました。

話の流れ的に盗跖の死は必然だったのかもしれませんが,つらい……

 

振り返ると,伏線らしきものはありました。

先代・盗跖の妹である扇(せん)から愛の告白を受け,盗跖は出征を3日間遅らせ,全精力を傾けた熱い夜を過ごしたんですよね。

かすかに嫌な予感は抱きつつ,「若いって良き,良き」「ゴンタ先生の作品にはこういう展開がなくっちゃね(笑)」と思っていましたが,盗跖の魂を次代へつなぐための伏線だったのでしょうか……

 

将軍・曹寛,軍師・蔡要に続く神出鬼没の遊軍・盗跖の死は,連合軍にとって大きな大きな痛手。

さらに盗跖は,達人伝の物語において命は滅んでも魂は受け継がれていく存在の象徴であり,盗跖の魂が誰に引き継がれていくのか気になるところです。

やはり,本命は邦ちゃん(のちの漢の高祖・劉邦)なのでしょうか?

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<盗跖と秦の王子・政〜漫画アクション2020/4/21号「達人伝」より〜>

達人伝第157話「太子の戟」〜秦の総帥・蒙驁〜

秦軍は,もはや総帥・蒙驁の存在なしに語れません。 

 

こまったときの,蒙驁。 

ここぞのときの,蒙驁。

 

 目先の勝敗にはこだわらない「戦略の徹底」に加えて,「個の武」の安定感が抜群です。

 

かつて秦将・白起は,何十もの城を落としたり,100万人に及ぶ将兵を殺戮して他国を震えあがらせましたが,その姿勢は徹底した「攻撃」。

一方の蒙驁は,暴れ狂う黥骨を制圧したり,息子・蒙武や政を救出したり,その本領が発揮される主な局面は「防御」。

 

「武」という字は,「戈(ほこ)」を「止(とめる)」と書きます。

まさに,蒙驁は「武」の本質を体現する人物といえます。

 

もともと,蒙驁は他国(斉)から流れて来た人物ですが,偏見なくその能力を正当に評価抜擢するのが,徹底した法治国家・秦の強み。

「達人伝の登場人物の中で理想の上司は?」とアンケートを取ったら,蒙驁はトップクラスではないでしょうか?(笑)

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<秦の王子・政を救出する秦軍総帥・蒙驁〜漫画アクション2020/4/21号「達人伝」より〜>

達人伝第157話「太子の戟」〜信陵君の怒り〜

長年の腹心・ 蔡要の首を目にして,五国連合軍の総帥・信陵君がめちゃくちゃ怒ってます。

額に青筋を立て,目を血走らせ,涙を流して叫んでいます。 

 

信陵君と蔡要は,古くから信頼しあい,ボケとツッコミのやりとりを展開する微笑ましい関係でした。

 

「起きてくだされ 緊急の切実なる事態ですぞーっ」と起こそうとする蔡要に対し,「むほう〜どうしてくれよう〜」と寝ぼけて蔡要の胸をまさぐる信陵君の話は,ふたりの関係を象徴するとても好きなシーンです。(コミック9巻第52話「ふたりの宰相」)

 

大将と参謀,肉体派と頭脳派,情熱派と理論派。

この組み合わせは,盗跖と謀幹,王齕と范束,「蒼天航路」では曹操郭嘉などにおいても見られたもので,作者のゴンタ先生自身が編集者に寄り添ってもらってきたのでこのようなコンビを描きたくなるのか,と書かれていたことがあります。

 

しかし,その長年の同志であり,戦友である蔡要さんの死。

信陵君の喪失感は計り知れないですね……

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<怒り狂う連合軍総帥・信陵君〜漫画アクション2020/4/21号「達人伝」より〜>

達人伝第157話「太子の戟」まとめ〜 

曹寛,蔡要に続いて盗跖も逝ってしまいましたが,連合軍の追撃は続きます。

 

蒙驁率いる秦軍は逃げ切れるのか?

信陵君は追撃戦を継続できるのか?

 

今後の展開から目が離せません!

 

【「達人伝」コミック25巻の感想】

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