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のらりーパーソン〜きくっちの日記〜

【愛する者のために涙を切り人を斬る】映画「壬生義士伝」レビュー

こんにちは。
のら猫のように生きるサラリーパーソン,「のらりーパーソン」きくっちです。

 

映画「壬生義士伝」 を観ました。

監督は「おくりびと」の滝田洋二郎,原作は浅田次郎の同名の小説。

主演は中井貴一。周りを夏川結衣中谷美紀佐藤浩一,堺雅人が固めます。

 

感想を一言でいうと,「美しく,儚く,切ない」。

本作は日本アカデミー賞・最優秀作品賞,中井貴一さんが最優秀主演男優賞を受賞しています。

 

【目次】

 

【あらすじ】

時代は幕末。

盛岡藩の下級武士,吉村貫一郎は剣術に秀でており,子供たちに教えていたが生活が苦しく,妻や子供たちを養うのがやっとであった。

 

そんなある日,吉村は脱藩して京都の新選組に身を投じた。

当時,脱藩は死刑に値する大罪。

 

貧しいながら家族を愛していた吉村は,なぜそのような決断をするに至ったのか。

新選組とともに吉村はどんな運命をたどるのか。

 

【ポイント①幕末の武士の困窮】

ミステリーではないので答えを言ってしまうと,主人公の吉村は盛岡藩での生活があまりに苦しく,3人目の子どもが生まれたらとても食べていけないと判断して,脱藩します。

 

いわゆる「口減らし」。

京都へ出稼ぎして,仕送りすることで家族を養おうと考えたのです。

 

吉村の妻は,沼に入水して口減らしを図りますが吉村に止められ,それが吉村の決意を固める結果となります。

 

貨幣経済の浸透により,幕末期の下級武士がいかに困窮していたのか。

家族がひとつ屋根の下で暮らせないほどであったと考えると,胸が痛みます。

 

上京して新選組の一員として働くようになり,吉村は周りから嘲笑を買いながら,せこいまでにお金を求め続けます。

 

「侍がお金に執着するのはみっともない」という価値観の中,吉村がお金に執着し続けた理由は,家族へ仕送りするため。

お金のため,家族を守るため,侍としての誇りなどかまっていられなかったのです。

 

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<アマゾンより>

 

【ポイント②幕末の動乱期】

新選組は幕末に咲いた徒花(あだばな)。

はじめは,京都の治安を守る存在として幕府に重用されます。

 

しかし,内部分裂を起こし,錦の御旗を立てる薩長軍と戦い始めるに至り,完全に大義を失います。

近藤勇沖田総司斉藤一土方歳三などの好漢が登場し,表舞台を去っていきます。

 

吉村も新選組の主力として活躍。鳥羽伏見の戦いで最大の見せ場を迎えます。

司馬遼太郎の「龍馬がゆく」はじめ,幕末の動乱期が好きな人にはたまらない空気感が映画全体を覆っています。

 

【ポイント③サムライの矜持】

ポイント①でも書きましたが,当時は「侍がお金に執着するのはみっともない」という価値観が支配的。

愛する家族のためとはいえ,お金,お金と求めるのは侍としてあるまじき姿と見なされました。

 

吉村は,完全に侍としてのプライドを捨ててしまったのでしょうか?

そうではありません。

脱藩という主君を裏切る行為を恥じていた吉村は,二度も主君を裏切ることはできないと,新選組を裏切ろうとする誘いを断ります。

 

錦の御旗を掲げる薩長軍を敵対することになっても,天皇を敵にするのは本意でないが新選組,幕府を裏切ることはできないとして,単身,敵の中へ突っ込んで行きます。

 

【まとめ】

家族への愛のため,侍としての誇りのため,幕末動乱期を彩る花として散っていった吉村。

その切なくも美しい生き様は,現代に生きる私たちに鮮烈な感動を残します。

 

中井貴一の演技に括目。

いかにも田舎侍的なぼくとつとした雰囲気と南部なまり,そして時折見せる毅然とした演技のギャップに,えもいわれぬ味を感じさせられます。

 

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