「ラストストロー現象」を知っていますか?
「ラストストロー現象」を知っていますか?
「ラストストロー」とは「最後のワラ」のこと。
「ラストストロー現象」とは,背中に重い荷物を積めるラクダが,かるいワラを1本積んだだけでつぶれてしまう現象のことです。
つまり,ラクダがつぶれた直接の原因は1本のワラだけれど,その背景をよく調べると,限界ギリギリの荷物を積んでいたため,かるいワラが「とどめの一撃」になるという話です。
じつは,私たちの周りでも,「ラストストロー現象」があふれているのではないでしょうか?
<Photo by Pixabay>
【目次】
【ラストストロー現象〜突然ダウンする同僚〜】
これまで20年ほど働いてきた中で,突然,心の病になる同僚を10人くらい見てきました。
「あんなタフな人がダウンするなんて……」「昨日までふつうに働いていたのになぜ?」と思ったり,「どうして気づいてあげられなかったんだろう……」と後悔の念に駆られたりしました。
心の病にかかる人は,ある日突然発症するのではなく,それまでジワジワした重い蓄積があり,そこへラストストロー現象=最後の一撃が加わって倒れてしまうのだと思います。
【ラストストロー現象〜負の遺産〜】
私自身,「ラストストロー現象」一歩手前に直面したこともありました。
ある職場へ異動したところ,前年度までに8割方完成させておくべき仕事がほとんど手付かず状態で,締切は目前。
しかも,同僚はサービス残業をしてなんとか仕事を回している状態なのに把握されておらず,業務量に対してマンパワーが圧倒的に不足している状況でした。
「まさに,ラストストロー現象直前の状態!」「ワラ1本の負荷で崩壊しかねない!」「爆発寸前まであたためて,今までいったい何をやっていたんだ!」と激しい怒りをおぼえました。
【ラストストロー現象〜正の遺産〜】
反対に,自分はワラ1本をポンと乗っけたくらいでたいしたことをしてないのに,幸運にも目覚ましい成果が出てしまうケースもあります。
それは多くの場合,前任者が地道にタネをまき,水をやり,手入れしてきた結果,花開くタイミングにたまたま自分が居合わせただけのこと。
これは,「逆ラストストロー現象」とでもいうべきもので,間違っても「これはオレ様の手柄だ!」と勘違いしてはいけません(笑)
【ラストストロー現象〜まとめ〜】
良い結果にせよ悪い結果にせよ,「ラストストロー現象=最後の1本のワラ」はきっかけに過ぎず,その結果に至った真の原因=本質を見抜くことこそ大切です。
また,結果が出る前の段階において,無理や我慢をしすぎたり,反対に「そのうち火を噴きそうだけど,自分はいなくなるからいいや!」と問題の先送りもいけません。
ラストストロー現象とは,将棋やチェスでいう「王手」「チェックメイト」の状態であり,事ここにいたっては,ほとんど手のほどこしようはありません。
詰んでしまう前の段階こそ最重要であり,「王手」「チェックメイト」の状態では,へんな色気は出さず,被害を最小限度に留めて撤退し,挽回を図る「勇気」が必要でしょう。
「ラストストロー現象」,頭の片隅に刻んでおきたい言葉です!
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日本人は日常的に「頑張る!」「頑張れ!」と使いますが,私はどうも苦手。
英語だと「Good Luck!」「Do your best!」などニュアンスが異なるんですよね!