人生の大先輩から聴く体験談
先日,東京のホテルで出張マッサージを受けてきました。
タクシーの運転手さんなど,はじめて会う人と会話するのが好きなので,今回もマッサージのおばちゃんとの会話から,いろいろ考えさせられました。
【おばちゃんの話】
30分の会話で,おばちゃんから以下のような話を聞きました。
- 70代半ば〜後半。配偶者にはだいぶ前に先立たれた
- 国民年金しかないので生活が苦しく,この歳になっても働かざるをえない
- ぼんぼんの安倍首相には,貧しい年寄りの生活の苦労はわからないだろう
- 頭が悪いので,マッサージのような肉体労働しかできない
- ふだんはホテルの待機部屋でお客さんからの依頼を待っている
- 客は平日のビジネスパーソンが圧倒的に多く,週末は暇
- 酔っ払い客は年の功でうまくあしらうが,言葉が通じない外国人が怖い
- 東京オリンピックで外国人客が増え,ビジネス客が減るだろうと心配
- 高血圧,高尿酸値だが,薬を飲み飲みごまかしながら働いている
- 東京までの電車賃が惜しいので平日は東京で暮らし,週末は実家へ帰る
- 45歳の息子と娘がいるが,娘には感謝もされず悪態ばかりつかれている
- 貧しかったため,子供を厳しく育てすぎたかもしれないが,後悔はない
【所感】
母親よりも年上の推定80歳手前のおばちゃんの話には,うーんと唸らされました。
国民年金は,40年間満額保険料を払って6万5千円。
実際に支給されているのは,5万5千円程度だそうです。
たとえ持ち家でも,5.5〜6.5万円では食費,水道光熱費,医療費などで,あっという間になくなります。
配偶者がいたり,遺族年金があればもう少し額は増えるでしょうが,それでも生活保護の月額12,13万円(単身世帯)を下回るのでないでしょうか。
おばちゃんは体が丈夫だから,持病がありながらも稼いでいますが,「介護保険のお世話になることになったら,自己負担分を払えないだろう」とも話していました。
【まとめ】
「年金が少ないことはわかっていたのだから,老後に備えてちゃんと備えをしておけばいい」という自己責任論的な考えもあります。
ただ,80歳を前に,体にムチ打って懸命に働く姿を目の当たりにすると,自己責任論は正論ではあるけれども,あまりにやさしさに欠ける気がします。
また,「もし,若い頃に戻れるなら,いろいろ人生をやり直したい」とも話しており,「そうですか……」という以外,何も言えませんでした。
人生の大先輩のメッセージ,若い世代はしっかり受け止めたいと思います。
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