自転車屋さん100軒を営業した話〜ヒャクゼロの窮地に現れた救いの神に〜
以前,自転車屋さん100軒を営業で回ったことがあります。
当時,新聞社の文化事業部で働いており,ウォーキング&サイクリングイベントの資金を確保するため,パンフレット広告を掲載してくれるスポンサーを募集していたのです。
【目次】
【リストアップ】
黒字化の算段は立っていましたが,パンフレットの制作代を賄おうと,はじめは大口スポンサーを狙って営業をかけました。
しかし,なかなか難しかったため,サイクリングショップに少額のパンフレット広告を掲載してもらうよう方針転換。
電話帳で調べ,ちょうど100軒のサイクリングショップをリストアップ。
1枠1万円の広告で,10枠くらいは確保できるかなと。
サイクリングショップだけに,自転車で営業に回ることにしました。
【セールストーク】
私のセールストークは以下のとおりです。
「県内のサイクリングファン500〜1,000人が集まる,良質のイベントです!」
「仮に参加者が最低レベルの500人として,10%の50人が広告に反応し,1%の5人が何かを購入してくれれば,広告料のもとはすぐ取れます!」
「しかも,自転車ファンは修理したり様々なグッズを買ったりするので,中長期的な顧客を獲得できるチャンス!」
「私自身もよく自転車に乗るので,今後ともよろしくお願いします!」
「なかなか筋のいい話でしょ?」と思ったのですが,手応えはスカスカでした。
<Image by Jill Welliington from Pixabay>
【全滅】
結局,数日間かけて回った自転車屋さん100軒は全滅=ヒャクゼロの大ピンチ。
以前,新聞購読の契約を獲得するため,何十軒と訪問した経験があり,30軒回れば1軒くらいは「しかたがないなあ」と契約してくれたものですが,あらためて営業の厳しさを痛感しました。
【救いの神】
期限が迫るなか,どうにもあきらめきれない私は,「せめて1枠だけでも!」と執念を燃やし,ダメもとでスポーツジムに飛び込みました。
すると,「ウォーキング&サイクリングイベントだったら,健康志向の参加者が広告を見て利用してくれるかもしれないね!」と協賛してくれることになったのです。
【大失態】
ところが,その唯一の貴重なスポンサーの広告をパンフレットに掲載し忘れるという,大失態を演じてしまいました。
イベント企画,スポンサー営業,パンフレット作成,当日準備運営など,すべて一人で切り盛りせざるをえなかったのですが,パンフレットに掲載するマップの修正の必要性について上司と激しく議論。
ふだん,めったなことで怒らない温厚なタイプですが珍しく頭に血がのぼり,「今さら修正とか間に合いませんって!」と印刷会社にキレられながらギリギリの対応に追われるうちに,広告掲載がすっかり飛んでしまいました。
というのは言い訳で,すべて私の責任です。
イベント前日夜にパンフレットが納品され,「あっ!」と気づいて血の気が引きましたが,後の祭りでした。
【謝罪】
3日間ほど徹夜状態で臨んだイベントは,盛況のうちに無事終了。
イベント終了後,広告の掲載されていないパンフレットを持って,一人でスポーツジムへお詫びに行きました。
広告協賛金は1万円でしたが,私にとっては100万円の値打ちを感じていただけに,「どの面さげて……」「しばかれてもしかたないな」という気持ちでしたが,言い訳はせず誠意をこめてお詫びしました。
スポーツジムオーナーは責めることもなく,「そうでしたか。それは残念でしたね」と穏やかな表情で微笑んでいました。
【まとめ】
スポーツジムオーナーのあたたかい微笑みは,とても印象に残っています。
おそらく,疲れ切った様子の私を気の毒に思って協賛してくれたのではないかと思われますが,その想いを完全に裏切ってしまったことは痛恨の極み。
その後も,「なにか,あのスポーツジムの役に立てることはないか?」とアンテナを張り続けましたが,実現することはなく,退職を機にその土地を離れることになりました。
社会人1年目の苦い思い出です(^^;)
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