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ウェルビーイング・クエスター(心と体の幸せ探求者)きくっちの日記

地方公務員のお仕事(復興事業局編)

こんにちは。

ウェルビーイング・クエスター(心と体のしあわせ探究家)きくっちです。

 

皆さんは,地方公務員がどんな仕事をしているか知っていますか?

私は民間企業(新聞社)で3年,中央省庁(内閣府)で2年,地方公務員(市役所)で12年の勤務経験があります。

そこで,「民間企業」「国家公務員」と比較する視点から,「地方公務員」の仕事を紹介したいと思います。

シリーズもので,今回は「復興事業局編」です。

 

 

【この記事を読んでほしい人】

・就職,転職先として地方公務員を検討している人

・民間企業,地方公務員,国家公務員の違いを知りたい人

・地方公務員が何をやっているかわからず,税金泥棒と思っている人(笑)

 

【仕事内容①】

役所でも民間企業でも,大別すると「平常業務」と「臨時業務」があります。

復興事業局は,2011年の東日本大震災後に立ち上がった部署で典型的な「臨時業務」。

 

一口に復興事業と言ってもハードからソフトまで幅広く,私が携わったのは主に「①震災復興計画の策定支援」「②支援物資の配布」「③被災者支援システムの構築」です。

 

「①震災復興計画の策定支援」は,復興計画の策定自体ではなく,説明会や専門委員会を開催して住民や有識者の意見を聴くといった,いわゆる「ロジ業務」です。

復興計画素案の説明会では,会場設営中に過労から同僚が倒れたり,当局が説明している途中で激高した住民にマイクを奪われたり,いろいろなことがありました。

 

【コラム①:サブとロジ】

霞が関の中央省庁では,しばしば「サブ」「ロジ」という業務分類をします。

「サブ」とはサブスタンス,つまり「中身,内容」に関する仕事。戦争で言えば,戦略や作戦を企画・立案する仕事。

「ロジ」とはロジスティクス,つまり「兵站,物資輸送」に関する仕事。戦争で言えば,食料や武器弾薬を手配・調整する仕事。

 

一般的に「サブの方が重要」と思われがちですが,「兵糧攻め」という言葉があるように,第2次世界大戦で石油を絶たれて敗戦した日本のように,ロジが破綻した軍隊は負けます。

もちろん,武器弾薬が豊富でも作戦が悪ければ敗れるので,結論としては「サブもロジも両方大事!」となるのですが。

 

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【仕事内容②】

私は「①震災復興計画の策定支援」というロジ業務を担当し,「②支援物資の配布」もロジ的な業務でした。

これは,宗教団体から寄付金をいただき,「被災者のために活用してほしい」との意向を受けて石油ストーブを購入し,仮設住宅で過ごす被災者へ配布したものです。

 

どこから1万台の石油ストーブを購入するか,どうやって1万世帯の被災者へ配布するか,被災者の希望の有無をどうやって確認するか,個人情報の取扱いをどうするか等々,様々な苦労がありました。

しかし,「おかげで暖かい冬を過ごすことができる」と感謝のお手紙を頂き,苦労が報われた思い出があります。

 

「③被災者支援システムの構築」は,1万世帯の被災者がなるべく早期に仮設住宅を退去して自立した生活ができるよう,被災者のデータベースを構築するもの。

家族構成,被災前住所,仕事など,行政がその属性を踏まえたきめ細やかな支援策を検討する基礎データで,あのレベルの被災者支援システム構築はおそらく日本初。

 

システムなど触ったことのない素人の私が,連日34時間にわたって業者と設計の打合せをしたり,深夜まで1万世帯分のデータの確認・突合作業をしたり。

通常,1年かけて構築するシステムを半年程度で完成させ,心身共に苦しい思いをしましたが,あのシステムのおかげで被災者の現状を的確に把握し,被災者の自立支援策を検討するのに貢献できたと信じています。

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【年間スケジュール①】

「臨時業務」であり,すみやかな復興を果たすためスピード感が求められました。

震災復興計画は,震災後半年以内の策定が目標。

支援物資(石油ストーブ)は,東北の寒い冬が来る前の配布が求められ,被災者支援システムは半年間の突貫作業で構築しました。

ワークライフバランスなど言っていられない,非常時特有の雰囲気の中でスケジュールが進行しました。

 

【コラム②:ワークライフバランスっておかしくない?】

私は「ワークライフバランス」という言葉に,少々違和感を覚えています。

「ワーク」と「ライフ」が対等に聞こえ,「ライフ」がいかにも軽い。

「ライフ=命,人生,生活」より大切な「ワーク=仕事」とはなんでしょう?

 

中には,「仕事こそわが人生!」,すなわち「ワーク」=「ライフ」という人もいるでしょう。「趣味」と「仕事」の境界なく,自由に働いている人もいます。

それはそれで尊重しますが,少なくても「ワーク」>「ライフ」はおかしい。

私は「ワーク」>>>「ライフ」,つまり「ワーク」の方が圧倒的に重要。

「ワーク」は「ライフ」の一部に過ぎない,と考えます。

 

【年間スケジュール②】

そんな考えの私ですが,復興業務に携わっている間は「残業したくない」とは言えず,よく働きました。恒常的に月6080時間,ピーク時は月120時間ほど残業をしていました。

 

冷静に考えれば,たとえば,人の生死に直結する震災直後の数日間は,不眠不休で働くのはやむを得ません。しかしその後,数ヶ月,数年にわたって私生活を犠牲にして働くのは,いかがなものでしょうか。

私自身が被災地市民の一人でもあり(幸い自宅,家族は無事でしたが),「被災者が大変な思いをしているのだから,公僕たる公務員は私生活を投げ打って仕事に打ち込むのは当然だ!」というのは暴論と思います。

 

私の場合,妻と共働きで子どもは1歳になったばかり。親も時々介護が必要な状態だったので,連日の残業は家族の負担,とりわけ妻の負担が非常に大きかったです。

しかし,当時はそんなことを主張できない無言の圧力があり,今振り返れば,かるい鬱的な状態だったのではと思います。

 

もちろん,大変だったのは他の部署も同様。

ある部署では,過労から来る心身の不調により職員がバタバタと倒れ,全体の数割しか出勤していない状態だったそうです。

もっとも,この部署の場合,業務量に対して人員が全然足りず,2人倒れたら1人補充,3人倒れたら2人補充という後手後手の対応だったという「人災説」もあります。

 

1,000年に1度の大震災,諸々やむを得ない面はあったのでしょうが,「二度とあのような災害は起きないでほしい」と心から願います。

 

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【向いているタイプ】

復興事業局に限らず,「臨時業務」に必要な資質は「馬力」「スマートさ」です。

 

一見,相反する資質ですが,やはり短期決戦の要素が強いので,まず「馬力」=「もりもり残業できる体力」はある程度必要です。

と同時に,おそらく初見となる臨時業務に取り組み,目的達成に向けて最短ルートを進む「スマートさ」も必要です。

 

と書くと,非常に高度な資質が求められそうですが,社会人としてプロジェクトやイベント等の臨時業務に取り組んだ経験があれば,大丈夫。

あるいは,自身にそのような経験がなくても,同僚や上司に経験があれば,その人についていけば問題ないでしょう。

臨時的な組織には,人事課もそれなりに経験,能力がある人材を配置するものです。

 

【向いていないタイプ】

向いていないタイプは,ストレス把握,対処が苦手な人。

臨時業務を行う部署なので,やはり高いストレスがかかります。

髙いストレスがかかった時,「闘争」するのか,「逃走」するのか。

 

猛然とファイトを奮い起こして,「闘争」=仕事するもよし。

あるいは,「かなり疲労がたまっている」「もう無理!」と自身のストレス状態を把握して解消を図ったり,上司に相談して業務量を調整してもらったり,「逃走」するのもよし。

なるべく途中までは「闘争」,限界が近づいたら「逃走」を私はオススメします。

 

一番よろしくないのは,ある日突然パタッと倒れること。これはチームへのダメージが非常に大きいです。

もちろん,好きで突然倒れる人などいません。

が,夜眠れないとか,朝起きられないとか,ボーっとして集中できないとか,なんらかの体調の予兆があるはずです。

それらのサインを見逃さず,我慢しすぎず,周囲に伝えていく。

 

真面目な日本人は,こういった弱音を上げる行為が苦手です。

土壇場で,「組織は自分の命を守ってくれない」「自分の命は自分で守るしかない」「組織に自分の代わりはいる。家族に自分の代わりはいない」「いざとなったら,本気で倒れる前に休んだり,辞めてもいい」と割りきれる人は大丈夫。

 

しかし,そうでない人は,ストレスの高い臨時業務は,病気や自殺のリスクがあり危ういのではないか,避けた方が無難ではないか,と思います。

 

【やりがい】

地方公務員の場合,国家公務員や民間企業が行う復興支援と異なり,被災者に直接かつ継続的に寄り添う仕事なので,大変やりがいはあります。

一般に臨時業務は,早期に結果を出すことが求められ,意義がわかりやすい業務が多いですが,日々の業務の中には,「これって何の意味があるの?」と首を傾げるものも正直あります。

特に大組織の場合,業務が細分化されるのでその傾向は強いと思います。

その際,「○○のためになる!」と意味づけをしたり,意味のあることに集中したり,「やりがいの整理」を自ら行う必要があると思います。

 

【大変な点】

「やりがい」の裏返しになりますが,早期に結果が求められる短期決戦なので,「馬力」「スマートさ」が求められます。

「いざとなったら『逃走』すればよい」と前述しましたが,いざ配属されたら,サラリーパーソンが現実に「逃走」することは難しいでしょう。

知恵と工夫を凝らし,自分の限界を見極めながら耐え忍ばなければならないのが,サラリーパーソンのつらいところです。

 

【まとめ】

民間企業,国家公務員,地方公務員いずれにおいても,臨時的業務はしばしば発生し,まあどれも大変です。

以前,NHKで放映していた「プロジェクトX」のように,チームで結束して目的を遂行できれば,素晴らしいサクセスストーリー。

しかし,その過程においては,負傷・落伍するメンバーが出たり,ミッションが達成できなかったりする可能性もあります。

 

臨時部署を志願する優秀な猛者はさておき(笑),希望しないのに異動の内示を受けた場合は,「君にはその力がある」と組織から認められ,期待されている証。

謹んで命を受け,力の限り「闘争」し,「これ以上は倒れる!」と思ったら「逃走」する。

それが,組織で働くサラリーパーソンとして,組織に人生を預けない人間として,正しい処方ではないか,と思います。

 

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