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ウェルビーイング・クエスター(心と体の幸せ探求者)きくっちの日記

地方公務員のお仕事(コンベンション誘致編)

こんにちは。

ウェルビーイング・クエスター(心と体のしあわせ探究家)きくっちです。

 

皆さんは,地方公務員がどんな仕事をしているか知っていますか?

私は民間企業(新聞社)で3年,中央省庁(内閣府)で2年,地方公務員(市役所)で12年の勤務経験があります。

そこで,「民間企業」「国家公務員」と比較する視点から,「地方公務員」の仕事を紹介したいと思います。

シリーズもので,今回は「コンベンション誘致編」です。

 

 

【この記事を読んでほしい人】

・就職,転職先として地方公務員を検討している人

・民間企業,地方公務員,国家公務員の違いを知りたい人

・地方公務員が何をやっているかわからず,税金泥棒と思っている人(笑)

 

【コンベンションとは?】

さて,「コンベンション誘致」とはなんでしょう?

その前に,「MICE」(マイス)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

MICEとは,M(Meeting=ミーティング),I(Incentive=報奨旅行),C(Convention=コンベンション),E(Exhibition/Event=展示会/イベント)の略。

 

コンベンション(=国際会議)はMICEのひとつ。

ではなぜ,コンベンションを誘致するのか?

それは,コンベンションが開催されてたくさんの人が集まると,交通費,宿泊費,飲食費,土産代など消費が増大し,大きな経済波及効果が生まれるからです。

観光庁の発表によれば,日本全体のMICEの総消費額は5,384億円,経済波及効果は1590億円(2016年)。

 

金額が大きすぎてピンとこないと思いますが,たとえば、2,500人規模の国際会議(5日間,科学系)が開催されると,経済波及効果は6.6億円。

1件のコンベンションが開催されるだけで,これほどのインパクトがあるため,世界中の都市がコンベンション誘致に乗り出し,都市間競争が激化しています。

 

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【コラム①:コンベンションの現状】

日本政府観光局(JNTO)の発表によれば,2016年に日本で開催された国際会議は3,121件。参加者数は186万人。

2007年の国際会議件数1,858件,参加者数91万人と比べると,件数で1.7倍,参加者数は2倍に増えています。

 

都市別ランキングは,

1位=東京(23区)574件,2位=福岡市383件,3位=京都市278件,4位=神戸市260件,5位=名古屋市203件。

東京を別として,地方都市では福岡がダントツ。2007年と比べると,地方各都市も2倍前後の伸びを示しています。

 

一方,日本政府観光局(JNTO)基準の国際会議と別に,ICCA(国際会議協会)基準の国際会議があります。こちらは,いわゆるグローバルスタンダード。

世界12,563件中,エリア別で欧州が54%(6,777件)を占め,続いてアジア・太平洋18%(2,284件),北米12%(1,499件)。

日本はアジア・太平洋エリアで1位(414件)ですが,中国がじわじわ増えています(376件)。

 

国別で見ると,1アメリカ(941件),2位ドイツ(682件),3位イギリス(592件),4位スペイン(564件),5位イタリア(515件),6位フランス(506件),日本7位(414件)。 

国内断トツ1位の東京は世界では18位(101件),京都50位(46件),名古屋104位(25件)。

 

日本は観光庁が音頭を取り着実に増えていますが,世界全体で増加傾向にあること,まだ国策として本気を出していない中国のポテンシャル等を考えると,うかうかしていられない状況です。

 

【仕事内容】

ズバリ「コンベンション誘致」を行います。

「誘致の実働部隊」は「コンベンションビューロー」という地方自治体の外郭団体,「誘致の企画」は地方自治体が担うのが実情です。

「誘致の企画」とは,予算を確保し,誘致しやすい環境をソフト・ハード両面で整える仕事です。

 

民間企業の「営業企画セクション」に近いかもしれません。

自ら営業の最前線に立つわけではなく,営業の後方支援を担う業務。

また,国家公務員で言う「制度設計」と通じる部分があります。

法律や条例を制定するわけではありませんが,誘致を促進する助成金制度や歓迎メニューを創設や,新施設の建設といった業務も含まれます。

 

時々,自ら誘致セールスを行うこともあります。

大型コンベンションの場合,都市の総力を挙げた誘致が求められます。

そのため,地元の大学教授等と協力し,都市の魅力をPRする誘致提案書を作成したり,首長名の誘致レターを出したり,海外でプレゼンテーションを行うこともあります。

 

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【コラム②:交流人口とは?】

「定住人口」に対して「交流人口」という言葉があります。

「定住人口」とは,「日本の人口は12,700万人」「東京都の人口は900万人」というおなじみの「人口」。

「交流人口」とは,観光や出張等でその都市を訪問する人口のこと。

コンベンションの誘致・開催は,この交流人口拡大に大きく貢献します。

 

日本は人口減少フェーズに突入しています。

出生率を高め,人口減少を止めるべきではないか?」

「いや,人口減少しても,経済成長が維持できればいいのではないか?」

「いやいや,経済成長しなくても,ブータンのように国民が幸せを感じればいいのではないか?」

などなど様々な意見があります。

 

私は,国家が長期的に人口増加を続けることは困難であり,社会の成長,成熟とともに減少するのはやむを得ないのではないか,と思います。

そして,人間(というか現代日本人?)が幸せを実感するには一定の経済成長が必要であり,そのためには「人口減少を一定限度に止める方策」「人口減少フェーズの中で経済成長する方策」が同時に求められます。

 

「交流人口の拡大」は定住人口の減少を補い,経済成長を維持する方策のひとつとなりうるのではないでしょうか。

経済とは「お金の動き」であり,人が物理的に移動すれば,交通費,飲食費,宿泊費,土産費等のお金も当然に一緒に動く。

 

むろん,ビットコイン等の仮想通貨,VR等の仮想空間テクノロジーの進歩を考えれば,人が物理的に動かなくても,お金が動き,経済が動く仕組みは加速すると予測されます。

近い将来,家に居ながらにして,フランスのシャンゼリゼ通りを歩き,エッフェル塔を眺め,ミシュランの星付きレストランの食事を楽しむ「仮想体験」ができるかもしれません。

 

しかし,デジタル技術がどれだけ発達しても,アナログ領域は残るでしょう。

特に,視覚,聴覚,嗅覚はさておき,直接感知が原則となる味覚,触角の仮想体験の実現には時間がかかると思います。

その意味で,現在,地方自治体が現実的に打てる施策として,「交流人口の拡大」はベストではなくてもベターな選択ではないか,と思います。

 

【年間スケジュール】

地方自治体の常として,年4回の議会開会期間(36912月)と,予算要求時期(910月)は,バタバタする傾向があります。

また,大型誘致案件が出てきて,誘致提案書の作成や主催者の視察受入対応が生じると忙しくなります。

 

ただ,コンベンション誘致の世界では,37年前に開催都市が決定されるのが通例。

数年先のコンベンション開催情報を幅広に入手し,誘致可能性を探りながらアプローチしていく中長期的な仕事なので,仕事の進め方は比較的コントロールしやすいと思います。

 

【向いているタイプ,向いていないタイプ】

「向いているタイプ」を強いてひとつ挙げるなら,「社交性」です。

企画力,計画性,語学力があるに越したとこはありませんが,なくても何とかなります。

 

私は1年くらい英語(TOEIC)を勉強し,450点から640点まで上がりました。

が,英語対応はコンベンションビューローがしてくれるので実際に使う場面はほぼなく,モチベーションが上がらないので,やめました(笑)

企画力,計画性もあった方が効率的,効果的に誘致推進できますが,なくてもバタバタしながら何とかなります。

 

それより,同僚や初対面の相手と,ニコニコしながら良い関係性を築ける「社交性」がないと,厳しいと思います。

誘致はチームでする仕事なので,同僚との信頼関係が大切。

また,初対面の相手とすんなり打ち解けられないと,相手にそれが伝わり,話がなかなか進展しません。

 

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【やりがい】

公務員の仕事は,民間企業と異なり,価値を創造する「クリエイティブ系」は少ないのが実情です。

住民票の発行,税金の賦課・徴収,高齢者・障害者・子育て世帯・生活保護受給者に対する支援などなど。

ハコモノ作りの仕事もありますが,財政事情が厳しい昨今は多くなく,高度経済成長期に作った建造物をいかに長持ちさせるか「修繕系」がメインです。

 

コンベンション誘致は,「クリエイティブ系」とも少々異なりますが,民間企業の「営業」と似た側面を持つ数少ない業務で,その意味での「やりがい」はあります。

上記例のような「お役所業務」をイメージしている人は,戸惑うかもしれない類の「やりがい」で,誘致成功すればうれしく,失敗すれば悔しい。

たとえ1件失敗したとしても,人の生死や組織の浮沈に関わることはなく,「反省点を生かし,次も頑張ろう!」とポジティブな仕事と言えます。

 

【大変な点】

民間企業の営業と同じく,いくら自分が頑張っても,相手と合意できなければ結果に結びつきません。この手の仕事は,公務員では意外と少ないでしょう。

なんだかんだ言って,役所は多くの予算と権限を持ち,立場的に強い場合が多いです。

 

たとえば,税金は法に基づいて役所が強制的に取り立て,福祉,教育,子育て支援,まちづくり等は役所(議会)が認めない限り予算が付きません。

「役所」と「市民」を比べれば,多くの場合「役所」の方が「市民」より立場的に強く見えることが多いのです。

もっとも「強く見える」だけであって,法に基づき委託された役所が法を執行しているだけ。役所が偉いわけでは,決してありません。

 

しかし,コンベンション誘致の場合は,「役所」と「コンベンション主催者」は「対等の立場」。

むしろ,「ぜひ,うちの都市で開催してほしい!」と「役所」の方が,立場的に弱く見られることもあるほど。

そんな立場で誘致する必要があり,競合する他都市に打ち勝って結果を出さなければならない「大変さ」はあります。

 

まあ,「大変さ」と言っても,SWOT分析とかマーケティング戦略とか,民間企業では当たり前にやっている戦略的営業を公務員でもやる,ということなのですが。

 

【まとめ】

役所の中では,少々異色ともいえるコンベンション誘致。

観光庁は,これまでコンベンションに重点を置いてきましたが,MICE全般に力を入れることを表明しており,今後その重要性はますます上がることでしょう。

 

MICEの中でも,特にコンベンションは数年スパンの中長期的に取り組む仕事で,「コンベンションは組織でなく,人に付く」とも言われます。

つまり,その都市の顔,看板となる人物が,長年コンベンションに関わった方が誘致上有利に働くということ。

 

MICEは,世間の注目度はまだそれほど高くないかもしれませんが,今後間違いなく伸びる産業であり,多くの人材が必要とされることでしょう。

多くの人との出会いがあり,国内外の出張も多く,ハマる人はハマる仕事。

興味を抱いた方は,一度調べてみたり,関係者に話を聞いてみたりしてはいかがでしょうか。

私の話でよければ,3年間の経験をお伝えしますので,ご連絡ください^^

 

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