【陳舜臣著「中国任侠伝」】任侠,侠者とはなにか?
陳舜臣さんの「中国任侠伝」を読みました。
敬愛する王欣太先生が愛読していたと知ったため。
もはや絶版らしく,アマゾンの中古を80円ほどで購入。
1975年発刊,日焼けしてボロボロの本だけど味わい深い!
世界を動かすものは儒者(じゅしゃ)と侠者(きょうしゃ)。
儒者は文をもって法を乱し,侠は武をもって禁を犯す。
しかし,儒者は漢帝国の体制に組み込まれ,2千年もの間,支配層のために貢献。
侠者のみが孤軍奮闘,この世界を揺すぶり続けてきた。
儒は静,侠は動。
侠者とは,他人のために自分の身をかえりみない者。
命を惜しまず,名すら惜しまない。
恩に報いるため,秦の始皇帝を暗殺しようとした荊軻(けいか)。
信陵君の意気に感じ,最初で最後の助言を与えて死んだ門番の侯じいさん。
自身の生存欲求を最優先するエゴイズムは人類の悪徳と見なされがちだが,動物の本能としては正しい。
生存欲求が正しいとするならば,侠者は死に走りやすいきわめて非合理的な生き物。
集団の利益のため個人に犠牲を強要する安易なヒロイズムや美談は眉唾ものだけれど,侠者はあくまで自身の信念に殉じており,それとも異なります。
動物と人間を分かつものとは?
人間の生き様とは?
久しぶりに骨太の世界観に唸らされました。

- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1975/08/25
- メディア: 文庫
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