わたしの転機
わたしの転機。それは、転職を決意した時のことです。
私の経験は、万人に当てはまるかはわかりません。けっこう特殊な例かもしれませんし、転職経験者にとっては「転職あるある」かもしれません。
ただ、「そんなことがあるんだ!」「おもしろい!」と、転職その他のことで悩んでいる人にとって、ひとつの「気づき」になれば幸いです。
【序–マグマの蓄積】
私は以前、某新聞社で働いていました。
仕事自体は楽しく、やりがいもありましたが、とにかく待遇が悪い。
毎月の手取り給与額は17万円程度で、ボーナスはゼロ〜数万円。
残業や休日出勤も多く、代休や有休はほとんど取れませんでした。
先輩社員は続々転職しており、私も入社2年目から転職活動を開始。
しかし、多忙な日々に追われて十分な準備・対策ができず、連敗を重ねていました。
それでも、仕事をすぐ辞めることは考えられませんでした。
貯金もなく、仕事を辞めれば収入が途絶えるので、実家に逃げ帰るか、アルバイト暮らしするしかなかったためです。
「石の上にも3年」という諺もあり、「転職先が見つからない限りは、歯を食いしばってでも3年間は働こう!」との意地もありました。
できれば、仕事は早く辞めたい。けれど、転職活動はうまくいかない。だから、辞めるわけにはいかない。
このような状況が続く中で、フラストレーションが次第にマグマのように溜まっていきました。
【破–カエルの啓示】
誰から聞いたのか、今となっては忘れてしまいましたが、入社4年目のある日、「ゆでガエルの話」を聞きました。
熱湯に入れると、カエルは熱くてすぐ飛び出す。ところが、水に入れて徐々に温めていくと、カエルは飛び出すタイミングを失ってゆでガエルになってしまう、という話です。
私はこの話を聞いた瞬間、「これ以上、仕事と転職活動の両立は無理だ。今のままでは、間違いなくゆでガエルになる。今すぐ辞めなくては!」と断固決意しました。
検討の上に検討、逡巡の上に逡巡、熟慮の上に熟慮を重ねるタイプの私にとっては、まさに雷に打たれたような電撃の決断でした。
人生には、「電撃の転機」があります。
いや、正確には、全く唐突な「電撃」ではないのです。
長い間に「無意識」に蓄積されてきたものが、「意識」として爆発する瞬間、それが「電撃の転機」です。
水面下の氷山の大部分が「無意識」、水面上の氷山の一角が「意識」と考えると、イメージしやすいかもしれません。
【急–実家への帰還、そして転職へ】
退職を決意してからの行動は速やかでした。
翌日には上司に退職届を出し、上司の慰留もあって3ヶ月間勤務した後、アパートを引き払って実家へ帰還。
近所の目や評判も気になりましたが、それはそれとして、「このままだと一生無職になる!」と背水の陣で転職活動に励み、現在の仕事に就くことができました。
【おわりに】
この経験以降、「進むべきか、留まるべきか?」あまり悩まなくなりました。
本当に進むべき時、進まなければならない時は、「GO!」と無意識が、感情が溢れ出してきます。
悩んでいる時点で、まだ「その時」ではないのです。本能、直観の声に従います。
もちろん、クレバーに考えて即断即決、見切り発車でさっさと行動した方が良い場合もありますが、「そういうこともあるのだ!」と参考にしていただければ幸いです。