残業について②
昨日は、「なぜ,サラリーパーソンが嫌々ながらも残業するのか?」
以下3つの理由の①について書きました。
①周りがみんな残っていて帰りづらいから
②残業代を稼ぎたいから
③仕事が終わらないから
今日は、「②残業代を稼ぎたいから亅についてです。
これはけっこう切実です。
皆さんは、残業代ゼロで生活できるでしょうか?
共働きの2馬力ではなく1馬力だったり、住宅や車のローンを組んでいたりする人は、残業代をあてにした収支になっていないでしょうか?
あるいは、旅行資金や欲しいモノを買うためのお小遣いが必要ではないでしょうか?
実際、時給2千円の人が月10時間残業すれば2万円。
30時間働けば6万円、50時間働けば10万円になります。
月10万円もあれば、住宅ローンなどの必要経費はもちろん、お小遣いも十分賄えるしょう。
ここで考えたいのは、
「その給与や残業代は,いつまでもらえるのか?亅
という観点です。
私の友人の会社は,経費節減のため残業をさせず,残業代が出なくなりました。
強制的に休暇を取らされ,給与自体も減っています。
最近では副業を認める代わりに,残業代はおろか,給与を減らす企業も増えています。
経営者から見れば,その残業により,どれだけの利益を会社にもたらすのかよくわからない社員に,残業代など払いたくありません。
「自分は月200時間も残業している!」と「頑張っているPR」は経営者にはどうでもよく,欲しいのは「成果」です。
残業などせず,短時間で成果を出す社員こそ必要です。
会社に寄りかからず,
「副業するくらいの意思と能力を持つ,優秀な社員にこそ残ってほしい」
というのが経営者の本音でしょう。
また当然,業績不振による給与の減額やリストラ,倒産する場合もあります。
公務員であれば,景気変動による倒産やリストラのリスクと基本的に無縁そうですが,今後はわかりません。
公務員が優遇されていた共済年金は,あっという間に厚生年金と統一されました。
民間企業並みのリストラは難しいかもしれませんが,優秀な職員とそうでない職員の評価・選別,そしてそれに伴う給与の増減は民間と同様の流れでしょう。
公務員には職務専念義務があり,原則,副業は禁止されています。
しかし,退職年齢の延長等により給与水準を全体的に下げることになれば,原則,副業は認められるでしょう。
先行する民間企業は,本業に差し支えないルールを確立して副業を認めており,公務に支障がない範囲であれば,公務員だけ禁止する理由がありません。
そして,副業が認められれば,給与だけで食べていくことはギリギリの,相当低水準の給与体系になる可能性があります。
また,公務員の給与は民間企業の平均を取っており,多くの民間企業が残業を認めなくなれば,歩調を合わせて残業を禁止し,残業代が出なくなる可能性も考えられます。
以上のように,現在は安泰と思われている公務員ですら,様々なリスクが考えられます。
現在と同程度の給与や残業代が,いつまでもらえるかわかりません。
5年後,10年後,20年後になって,「こんな給料じゃ,最低限度の暮らししかできない!」と慌てふためいても,手遅れです。
では,どうすればいいか?
現在,50代以上の世代は,大きな変革があっても激変緩和措置等により,なんとか逃げ切れるでしょう。しかし,40代以下の世代は厳しい。
40代以下の世代がすべきは,残業代に頼らなくても暮らしていける「スリムな家計」に変えることです。
組んでしまった住宅ローンは仕方ありませんが,どれだけもらえるかわからない退職金を当てにして返そうなど思わず,さっさと繰上返済する。
あるいは,持ち家は人に貸して家賃収入を得て,自分はより安い家に住む手も考えられます。
車は買わずにカーシェアする。欲しいものは新品にこだわらず,メルカリ等のネットや中古品を活用すれば,かなり出費は抑えられます。
真剣に家計簿やクレジットカード明細を見直せば,毎月数千円~数万円を減らせる余地があるのではないでしょうか。
もちろん,家族やパートナーの協力は欠かせません。
そうして,手取り給与の7,8割で暮らしていけるようになれば,しめたもの。
【まとめ】
「②残業代を稼ぎたい」罠から逃れるには,
「手取り給与(残業代ゼロ)の7,8割で暮らせるスリムな家計」
を構築することがポイント。