行方不明者8万人超の謎
「行方不明者8万人超」とネットのニュースを見たので、調べてみました。
2017年6月に警察庁が発表した資料によると,2016年に届出受理した行方不明者は84,850人。
行方不明者が年間約8万5千人!すさまじい数です。
2002年をピークに減少しているものの,2004年以降は8万人台でほぼ横ばい状態。2014年以降は3年間連続で増加しています。
男女別に見ると,男性が64%,女性が36%。この傾向は,過去5年間変わりありません。
注目すべきは,年齢層別の割合です。
多い順に10代が20%(1.7万人),20代が19%(1.6万人),30代が12%(1万人),80代が12%(1万人),70代が11%(9,600人)。
なんとなく高齢者が多いのかと思いきや、10代〜30代までの青年層で過半数(4万人以上)を占めるのです。
これは日本の将来にとって、由々しき事態ではないでしょうか。
いかなる理由によるものかわかりませんが、年間4万人以上の若者が行方不明になっているのです。
いったい若者はなぜ、行方不明になるのでしょうか?
認知症の高齢者であれば、道がわからなくなり、帰れなくなってしまうことはあるでしょう。
しかし、若年層では認知症などの病気は考えにくく、何らかの「事件」に巻き込まれたのではないか、と想像されます。
「事件」というのは例えば、北朝鮮に連れ去られたり、反社会的勢力によって闇の組織に組み入れられたり、海外に売り飛ばされたり、臓器提供させられたりといった悪辣な事件です。
しかし、10〜30代の青年層のみで年間4万人、全世代で8.5万人。
年間自殺者数が2万人なので、その4倍以上。
これほど多くの人々が行方不明になっているのに、あまり社会問題になっていないように思います。
「何かがおかしいぞ?」と違和感を抱きました。
警察庁資料の続きを見ると、行方不明となった「動機」があります。
疾病関係が2.2万人(26%)で最も多く、このうち認知症またはその疑いによるものは1.5万人(18%)。
疾病関係に次いで多いのは、家庭関係1.6万人(19%)、事業・職業関係9千人(11%)。
待てよ?
行方不明になってしまったのに、どうして「動機」がわかるんだ?
さらに、警察庁資料の続きを見ると、「所在確認数」が載っています。
2016年中に所在が確認された行方不明者は、8万4千人。
つまり、年間8万5千人が行方不明になるものの、8万4千人は行方がわかった、ということです。
「発見」「帰宅等確認」が86%を占め、例えば、家族と揉め事があってプチ家出したが数日後には戻って来た、ということでしょう。
日本は、ある日突然、拉致られたりするのが普通の危険な国になったかと心配しましたが、そうでなくてよかった〜^^;
とは言え、手放しで安心もできません。
行方不明者数8.5万人から所在確認数8.4万人を単純に差し引くと、1,000人の方が依然として行方不明です。
さらに、割合としては低いものの、死亡した形で所在が確認されるケースも3,800人ほど存在します。
大切な家族や友人が、ある日突然行方不明となったり、亡くなって発見されたりする悲しみは、想像してあまりあります。
民法では、生死が7年間明らかでない時、申立により失踪宣告ができます。
失踪宣告すれば、法律上死んだものとみなす効果が生じ、遺産分割協議等を行うことができます。
しかし例えば、わが子がある日突然行方不明となった場合、やすやすと失踪宣告などできるわけがありません。行方不明になってから何十年も経地ち、高齢になった両親が悩んでいるケースもあるそうです。
【まとめ】
・ネットのニュースを鵜呑みに信じてはいけない
・バックデータをよく読むと真実が見えてくる