映画「ウィンストン・チャーチル 」感想〜We shall never surrender!〜
【目次】
- 【映画ウィンストン・チャーチル 時代背景】
- 【映画ウィンストン・チャーチル ダンケルク全滅】
- 【映画ウィンストン・チャーチル チャーチルの苦悩】
- 【映画ウィンストン・チャーチル ダイナモ作戦】
- 【映画ウィンストン・チャーチル まとめ】
【映画ウィンストン・チャーチル 時代背景】
原題は「DARKEST HOUR」、つまり「最も暗い時間帯」。
舞台は1940年5月。
ドイツ軍の侵攻により、イギリス軍・フランス軍の連合軍はダンケルクに追い詰められていました。その数、40万人。
ドイツ軍の包囲は厳しく、1割も救出できないだろうと想定される絶望的な状況下で、チャーチルがイギリス首相に任命されました。
【映画ウィンストン・チャーチル ダンケルク全滅】
このような危機的な状況でも、いや、危機的な状況だからこそ、政界は一致しておらず、これ以上イギリス国民の命を失わないため、ナチスドイツと和平交渉の道を探れないかという動きが蠢動します。
かねてより、チャーチルはヒトラーを信用しておらず、断固として戦うほかないと主張してきました。
しかし、ドイツ軍の猛攻囲はあまりに厳しく、ダンケルク40万人の将兵の命はあまりに絶望的な状況にあり、これが失われれば陸軍は壊滅状態に陥ってイギリス本土防衛もままならないことから、政敵も政治生命を賭してチャーチルを止め、和平交渉の道を探ろうとします。
チャーチルは、ダンケルク40万人を救うため、ダンケルク近くのカレー4,000人の部隊にドイツ軍の注意を引きつけるよう命じます。
カレー部隊の目的は、あくまでダンケルク救出のための囮であり、「1時間でも長く耐え抜くことが、仲間の命を救うことになる」と督戦激励しつつ、「カレー部隊を救出することはない」と無情の通告をチャーチルは送ります。
結果、懸命に奮戦するものの、カレー部隊4,000人は全滅。
【映画ウィンストン・チャーチル チャーチルの苦悩】
これが本当に正しい選択なのか?
ナチスドイツとの和平交渉の道は探らなくてよいのか?
ドイツにとっても、イギリスを攻めるにはドーバー海峡を渡らなければならず、ドイツは海軍を擁しないことから、和平を結ぶ余地があるのではないか?
危機的、絶望的な状況下で、さすがのチャーチルも悩みます。
チャーチルは街へ出ます。
これまで地下鉄など乗ったことのないチャーチルは、市民に乗り方を聞きながら車両へ乗り込みます。
市民は当然、首相であるチャーチルの顔を知っており、驚き、喜び、感動して名乗り、話しかけます。
チャーチルは市民に問います。
ドイツ軍がイギリス本国へ攻め込んで来たら、どうするかと。
人々は答えます。たとえ、ホウキやレンガしかなくても、断固として戦うと。
さらに、チャーチルは問います。
では、イギリスがドイツと和平交渉の道を探るならば、どう思うかと。
人々は異口同音に答えます。
「Never!」「Never!」「Never!」
老若男女を問わず、幼い女の子までも毅然として「Never!」
イギリス国民の徹底抗戦の意志を知り、チャーチルの腹は決まりました。
「We shall never surrender!(私たちは決して降伏しない!)」
「どれだけの犠牲を払っても、誇りを捨ててはならない。一度捨てた誇りは取り戻せないのだ」
【映画ウィンストン・チャーチル ダイナモ作戦】
そして、ダンケルクから40万人の将兵をイギリスへ帰還させる史上最大の撤退作戦「ダイナモ作戦」をわずか10日間で成功させ、その後ナチスドイツを破り、ヒトラーの野望を阻止します。
「We shall never surrender!」は後世に残る名言であり、イギリス国民が団結して逆境を克服しなければならない時に使う「ダンケルク・スピリット」は今なおイギリスで耳にする言葉だそうです。
【映画ウィンストン・チャーチル まとめ】
主演のゲイリー・オールドマンは、本作でアカデミー主演男優賞を受賞。
また、アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を、辻和弘さんが初受賞。
1995年「レオン」への出演以来、ゲイリー・オールドマンの顔はよく知っているつもりでしたが、彼の鬼気迫る怪演と、辻さんの特殊メイクアップは素晴らしく、もはやチャーチルその人にしか見えませんでした。
多くの映画はDVDで観れば十分と思う方ですが、本作は今、劇場で観て感動を味わうことができてよかった、と思える1本です!
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