佐藤航陽「お金2.0−新しい経済のルールと生き方−」レビュー〜資本主義から価値主義へ!〜
本書のポイントを一言で言うと、「資本主義から価値主義へ」。
ざっと目次を見てみます。
第1章:お金の正体
第3章:価値主義とは何か?
第4章:「お金」から解放される生き方
第5章:加速する人類の進化
第1章と第2章は、お金の本質や歴史、仮想通貨などテクノロジーの進化によるお金の変遷が記されています。
経済と脳の関係とか、中国の無人コンビニの話とか、興味深い情報がふんだんに記されています。
私には盛りだくさん過ぎて、消化不良気味でしたが、序論なのでまあよしとしましょう(^_^;)
第3章からが本論です。
価値主義とは何か?
それは、既存の資本主義ではお金にならないけど、価値のあるもの。
具体的には、NPOの社会貢献活動、地方創生プロジェクト、ツイッターやインスタグラムのフォロワー数、フェイスブックやグーグル社などIT企業が保管するユーザーデータなど。
すなわち著者は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくだろうと予想しています。
さらに著者は、価値を3つに分類しています。
①有用性としての価値
いわゆる「実生活に役に立つ」。現在の資本主義ともっともなじみぶかい考え方。
②内面的な価値
愛情、共感、興奮、好意、信頼など、個人の内面にポジティブな効果を及ぼすこと。
③社会的な価値
慈善活動やNPOのように、社会全体の持続性を高めること。
これまでの資本主義では、①ばかりを重視して、②③を軽視してきたわけです。
では、これからは価値主義へまっしぐらに突き進めばいいのかというと、「複数の経済システムは並存しうる」と説きます。
そして、著者が長年考えてきた試みとして、タイムバンクという「時間経済」を作り出しました。
これは、個人の時間を売買したり、保有したりできるサービスです。
たとえば、堀江貴文さんなど有名人の時間を買って、一緒に食事をするなどして利用してもいいし、値上がりしたタイミングで売ることもできるし、応援しようと長期保有することもできるわけです。
おもしろい!
このような価値主義が浸透し、複数の経済システムが並存する社会になると、組織よりも個人の価値が重要となり、他人に伝えられるほどの熱量を持って何かに取り組むことが、活躍への近道としています。
つまり、「儲かること」よりも「情熱を傾けられること」が大切。
就職や転職も、「自分の価値を高めておけば何とでもなる」としています。
お金や経済を「ツール」として使いこなして、自分のやりたいことを実現できる社会が、もう目の前に存在しており、今後ますますその流れは加速していく。
正直、今はまだピンときていない部分もありますが、非常に刺激的で勉強になった良書です!

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
【あわせて読みたい】