映画「SNOWDEN (スノーデン)」レビュー〜あなたも監視されている!?〜
2013年公開の映画ですが古びた感じは全くなく、率直に「観てよかった!感動した!」と感じた1本です(以下、ネタバレ注意)。
【「観てよかった!感動した!」ポイント】
①アメリカ政府による個人情報収集の恐ろしさを知ることができた
②29歳の若者が安定した地位,財産,自由を捨てて政府を告発した勇気
まず,①ですが,これは本当に恐ろしい。
NSA(アメリカ国家安全保障局)という機関は,文字通り世界中の人々を監視しています。その活動が加速した原因は,2001年9月11日のテロ事件。
NSAは,この事件を防げなかったことを痛切に反省。「テロ抑止の戦争は今,世界中で起きている」と考え,固定&携帯電話の通話記録,メール,SNS,ネット閲覧履歴,監視カメラ等,ありとあらゆる手段を使って,ターゲットの情報を収集します。
調べたい対象を1次ターゲット,1次ターゲットが接触した人物を2次ターゲット,2次ターゲットが接触した人物を3次ターゲットとすると,1〜3次ターゲットまで含めた監視対象人数は、なんと250万人!
1次ターゲットが1,000人いれば、1〜3次ターゲットは25億人になるので、私たちも監視対象に含まれると考えるのが妥当ではないでしょうか。
さらに。
スマホのメールや電話は、まあ盗聴されることもあるかもしれないと思っていましたが、怖いと思ったのは,パソコンに附属しているカメラ。
あのカメラ,パソコンの電源が入っていなくても,遠隔操作でカメラを起動させ,パソコンの周辺を見ることができるんです!((((;゚Д゚)))))))
今、こうしてパソコンやスマホに向かっている私やあなたも、監視されているかも!?
実際,スノーデン氏は2009年から日本の横田基地で勤務した経験があり、電気や電話等のインフラ網に侵入し、もし日米同盟が破棄されれば直ちにインフラをストップ可能との話なので、日本人も決して他人事ではないようです。
そういえば以前,「ビルゲイツやマークザッカ―バーグは,パソコンのカメラにテープを貼っている」と聞いたことがありましたが,オシャレでそうしているわけではなく、もちろん故障しているからでもなく(笑)、監視を防ぐためだったんですね。。。
さて、②です。
まるで、007並みのスパイのようなスノーデン氏ですが、国家からはその優秀さを重宝され、厚遇を受けていました。
しかし、恋人のパソコンまで監視されたり、NSAが提供した情報を元に簡単に命が奪われる現状を目の当たりにして、マスコミにリークすることを決意。
安定した仕事、給与、地位、名声、祖国すら捨て、「このような大量監視社会が許されてよいのか?」とアメリカ国民、いや世界中の人々に問題提起したスノーデン氏の勇気と功績は、称賛という言葉では語り尽くせないと思います。
彼の告発を機に、アメリカ政府も盗聴行為等の見直しを開始。
日本ではあまり話題になっていない気もしますが、私も遅ればせながら、大量監視社会の怖さを知ることができました。
現在、スノーデン氏はモスクワ在住。
一度は離れ離れになった恋人も、スノーデン氏を追ってモスクワに来て、今はともに暮らしているそうです。
その辺のラストの綺麗なまとめ方も、さすが巨匠オリバー・ストーン監督。
勉強になり感動でき後味もほのぼの爽やかという、素晴らしい映画でした!

- 作者: エドワード・スノーデン,青木理,井桁大介,金昌浩,ベン・ワイズナー,宮下紘,マリコ・ヒロセ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/04/14
- メディア: 新書
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