「健康で文化的な最高限度の生活」を求めて

ウェルビーイング・クエスター(心と体の幸せ探求者)きくっちの日記

映画「ジャッキー亅

f:id:a-kikutti:20180503173232j:plain

 

史上最も有名なアメリカ大統領の一人であるジョン・F・ケネディ。そして、その妻「ジャッキー」ことジャクリーン・ケネディ

 

ただ、暗殺されたこと以外、ケネディの在任中の功績を冷静に振り返ると、なぜ、これほど有名なのか少々不思議です。

「もし、生きていれば」という期待値は大きいですが、在任中の特筆すべき功績は、キューバ危機回避くらいしか思いつかない人が多いのではないでしょうか。

 

ジェームズ・ガーフィールド

ウィリアム・マッキンリー

この2人も暗殺されたアメリカ大統領です。どれだけの人が知っているでしょうか?

 

暗殺された有名な大統領といえば、エイブラハム・リンカーン。しかし、リンカーンには、奴隷解放宣言という歴史に残る偉業があります。

 

歴代大統領と比べて偉大な功績を残したわけでもないケネディが、今なお有名であり続けるのは、その死後数日間のジャッキーの振る舞いにあった、という映画です。

 

【この映画を観てほしい人】

ケネディ暗殺事件に興味がある人や、アメリカ大統領が居住するホワイトハウスに関心がある人。

また、2017年ゴールデングローブ賞(主演女優賞)にノミネートされたナタリー・ポートマンの悲しみに満ちた演技は必見です。

 

【あらすじ】

ジャクリーン・ケネディが記者のインタビューを受けて振り返る形式で、ファーストレディを務めていた頃の様子や、テキサス州ダラスで夫のジョン・F・ケネディが暗殺されてから数日間の行動が描かれます。

 

【見どころ】

なんといっても、ナタリー・ポートマンの演技と、暗殺当時の騒然としたホワイトハウスの状況に注目です。

 

ジャッキーはファーストレディになって、わずか3年足らずの34歳。

目の前で夫が撃たれるという悲劇に遭いながら、当時はソ連との緊張関係が予断を許さず、大統領の空位は寸刻も許されない。

 

ジャッキーは、ケネディの柩を載せたエアフォースワン機内で、ピンクのシャネルのスーツに夫の血をつけたまま、副大統領リンドン・ジョンソンの大統領就任宣誓に立ち会います。

 

そして周囲は時々刻々、ケネディを、そしてジャッキーも過去の人として扱い始めます。

このまま忘れ去られて良いのか?

米国大統領史上、最も有名といえるリンカーンは、どのような葬儀を行ったのか?

ケネディの葬儀も各国首脳を招き、リンカーン同様盛大なものとして、人々の記憶に留めるべきではないのか?

 

一方で、ジャッキーには、残された大切な2人の子どもたちがいます。

ケネディを暗殺したオズワルドが暗殺されるなど不穏な情勢下、多くの群衆が見守るなか子どもたちと歩くなど、危険すぎると考えられます。

 

前ファーストレディとして、自分は何をなすべきか。税金は国家のため使うべきと言っていた夫なら何と言うか。葬儀に参列する各国首脳、子どもたち、自分の安全は確保できるのか。

リンカーンの妻は家財を切り売りしながら、極貧状態で亡くなった。今後、自分や子どもたちは不安に怯えながら、どうやって食べていけばよいのか。

 

ジャッキーは泣き、悩み、怒り、嘆き、揺れ動きます。

 

【おわりに】

作中、ケネディが好んで聞いた「キャメロット亅というオペラが流れます。

キャメロットとは、伝説のアーサー王物語の都。季節の移り変わりはじめ、すべての出来事が規則正しく、美しく、理想的に進みます。

 

しかし、甘美な時間は二度と戻らない。

ジャッキーは、ファーストレディとして莫大な費用をかけて修繕し、国民に初公開して好評を博したホワイトハウスの生活を懐かしみながらも、前へ進んでいきます。

 

一度、知ってしまったら戻ることの許されない「知る悲しみ亅。

明るく美しいキャメロットの旋律の底流には、その悲しみが溢れています。