ウェルビーイング・クエスト〜きくっちの日記〜

ウェルビーイング・クエスト=「心と体の幸せ」を探求して

霞が関というところ

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私は,東京・霞が関の某中央省庁に,2年間出向した経験があります。

民間企業と地方公務員,両方の勤務経験がある私の目から,日本の政治・行政の中心である霞が関という組織,そしてそこで働く国家公務員=官僚はどのように映ったか?

ごくごく,個人的な感想を述べたいと思います。

 

①官僚はよく働く

官僚の皆さんは,おしなべてよく働きます。

国会待機とか,法案作成とか,緊急対応とか,残業を厭いません。

「家庭の事情があるから」とか「今日は用事があるから」とか言って,残業せずに帰る職員は,ほとんど見たことがありません。早めに帰るのは,飲み会の時くらい。

 

私自身も夜中の23時まで働いた時期がありますし,「残業することに対して特に愚痴や不満もなく,よく働くなあ」と感心しました。

「選良である官僚になった以上,残業を厭うべきではない」という矜持,プライドを感じました。

 

官僚はたしかに,いわば日本の命運を担う仕事をしているので,泣き言を言っていられない事情は理解できます。

しかし,長期間にわたるハードワークのため,心身の健康を損ねてしまう人や家庭崩壊している人を見ると,非常時はともかく平時の仕事量を何とか工夫できないものか,優秀な職員がつぶれてしまうのは国家的な損失ではないか,と感じました。

 

②官僚はスマート

東京大学はじめ有名大学の出身で,難関の国家公務員Ⅰ種試験を突破しているだけあり,スマートな人が多いと感じました。

「スマート」というのは,例えば,はじめて聞く話でも問題の本質を捉える能力が高く,上司への説明は簡潔明瞭で,関係者との交渉はそつがない,といったことです。

トラブルや難所をたくみに避け,最短最速ルートで,仕事をスイスイ進めていくイメージです。

 

とりわけ「段取り力」が高いと感じました。

例えば,法案を作成して国会に提出するとなると,殺人的な準備が必要になります。

法案提出というゴールから逆算し,法案審査する内閣法制局の針の穴を通すような数々の宿題に方々を駆けずり回って調査・調整対応し,関係議員に事前レクチャーしていくプロセスは,高度な段取り力,先を見通す能力なくして実現できません。

 

もっとも,このスマートさを悪用し,相手を徹底的に非難攻撃するような官僚もいたので,「能力と人格は別物」ということも痛感しました。

 

③官僚は自己肯定感が強い

じつは,残業や能力の高さより,「官僚の自己肯定感の強さ」に一番驚嘆しました。

叱責されようと,激怒されようと,罵倒されようと,とにかく「自分」「自己」「自信」が断固として揺るがない人が多いのです。

 

「これは明らかなパワハラだろう」「自分が言われたら,ちょっと耐えられない」と思われる人格を否定するような上司の罵倒叱責に対しても,その場ではしおらしく反省しているように振舞いますが,「やってられんわ〜」と後でペロッと舌を出しているイメージです。

 

あの自己肯定感の強さは,どこから来るのでしょうか?

学歴や官僚という職業に対する自信?それらが根拠になっている人もいるでしょうが,生来のものというか,子供時代から営々と培ってきた,いわば「育ちの良さ」のような揺るがない自己肯定感を実感しました。

 

どれだけ能力が高くても,自己肯定感が低ければ,過酷な環境下では耐えられないので,自己肯定感が高いことは非常に重要な資質と思います。

 

一方で,自己肯定感が非常に強く,「正義は我にあり」と信じて疑わないため,相手を完膚なきまで徹底的に攻撃するような人もいたので,諸刃の剣なのだと思いました。

 

【エピソード① マスコミ騒動】

私が出向していた当時,菅直人氏が財務大臣に就任しました。

私は財務省の玄関を抜けて地下鉄へ向かおうとしたところ,庁舎出口にマスコミが待ち構えていました。そして,「今回就任された菅財務大臣をどう思われますか?」とマイクを向けられました。財務省職員と勘違いされたのです。

 

しかし,私は地方から中央省庁への出向者であり,まして財務省職員ではないので,「関係ありません」と答えました。

すると,次の瞬間,TVカメラ用のライトをピカッと照らされ,財務省のキャリア官僚にとって,菅大臣の就任は関係ないということですか?菅大臣を認めないということですか?」と,物凄い勢いで質問してきたので,慌てて逃げ出しました。

 

あの「関係ない」発言が,一部報道で流されたとか,流されないとか。

くわばら,くわばら。

 

【エピソード② ホテル大蔵】

財務省の庁舎には,仮眠部屋があります。

かつて財務省は大蔵省という名称だったことから,仮眠部屋を通称「ホテル大蔵」と言うそうです。ホテルオークラ」と掛けた、なかなか気の利いたネーミングです。

 

「話のネタとして,一度ホテル大蔵を見てみたい」と思った私は,昼休みに財務省へ。目的の部屋を見つけましたが,そこは無機的な部屋に二段ベッドが設置してあるだけの,ふつうの仮眠部屋でした。

 

ただ,なにか,「代々,連日の激務で疲れ果てた戦士だけが休息することを許された特別な空間」という重苦しい歴史のオーラを感じて,私は「お疲れさまです」とつぶやいて,部屋を後にしました。

 

【エピソード③ 黙れと言われても黙らない】

税制改正要望ヒアリングのため,上司と総務省へ行った時のことです。

総務省のキャリア官僚が,机の上に足を投げ出して,「理屈が通らない!筋が悪い!これ以上何も言うな!黙れ!帰れ!」と早口でまくし立て,キレてきました。

 

私は驚き,萎縮し,絶句してしまいました。

しかし上司は,「黙れと言われれば黙りますが,我々が言いたいことはつまりですね…」と全くひるまず,黙らず,猛然と説明を続けました。

 

後から聞いた話では,総務省はあえてキレて見せて,それでも相手が反論してくるか,要望の本気度を試すようなことがあるようです。いわゆるハッタリですね。

 

それにしても,見たところ30才前後の若手キャリア官僚が突然キレたのには非常に驚きましたし,「黙れ!」と言われて全く黙らなかった上司の胆力には,さらに驚嘆しました。

霞が関の官僚,恐るべし。